カードローンの返済方法と返済のコツをFPが解説
執筆者:佐藤名ゝ美(ファイナンシャルコーチ)
2021年2月8日
緊急で資金が必要だけど蓄えが足りない。そんなとき頼りになるのがカードローンです。使い道を問わず、限度額までならいつでも借入れが可能な便利さの反面、ローン商品の中では金利が高めです。気軽に利用できるからこそ、確実に返済することが重要です。今回は、カードローンの返済方法について学んでいきましょう。
カードローンの返済方式(基本)
カードローンの最も基本的な返済方式が「約定返済(やくじょうへんさい)」です。住宅ローンやマイカーローンなどの返済と同様、月々の返済額と返済日を取り決めて返済します。毎月の返済日を固定しているため、返済を忘れにくいと言えます。返済日の取り決め方は、ローン会社によってさまざま。給与支払い日の翌日など都合の良い日を指定できる会社、いくつかの選択肢から選択できる会社、会社指定の口座振替日に引落としとなる会社があります。
また、カードローン特有の「35日返済」という返済方式もあります。5週間ごとに返済日が訪れる方式で、約定返済と比較して少し期日に余裕をもって返済できます。一方、毎月の支払い日が少しずつずれていくため、次の返済期日を忘れないようにしっかり管理する必要があります。また、ローンの利息は日割計算となるため、返済までの日数が長いほど利息負担が増えます。この点もよく理解したうえで利用することが大切です。
カードローンの返済(支払い)方法
返済手段は住宅ローンやマイカーローンなどの返済と同様に、あらかじめ登録した預金口座から口座振替で自動的に返済する方法が一般的です。他に、提携ATMから現金を入金する形で返済する方法、また銀行口座から振込み入金する方法もあります。
カードローンの返済を終わらせるコツ
カードローンは住宅ローンやマイカーローンといった目的別ローンと比較し、資金の使い道が自由で担保も不要なため、高めの金利が適用されるのが一般的です。月々コツコツ返済しているつもりでも、利息の負担が重く、思ったほど元金の返済が進んでいないということも。どんなローンも同じですが、支払う利息は借入残高に対する割合で計算されます。そのため完済に向かうためには、できるだけ早く多くの資金を元金の返済に持ち込み、残高を減らしていくことが重要です。そのために取れる具体的な対策は以下の通りです。
- ①約定返済の金額を増やす
- ②こまめに繰上げ返済する
- ③預貯金等で一括返済できないか検討する
- ④複数社の借入れがある場合や金利が高い場合、おまとめ・借り換えを検討する
①~③は、直接的に元金の返済額を増やす(=残高を減らす)方法です。④は適用金利の引下げを図ることで、同じ金額を返済するときに少しでも多くの資金を元金の返済に回すための対策です。
このとき注意したいのは、「できない無理はしない」こと。せっかく繰上げ返済をしても、生活資金が不足してしまい繰り返しお金を借りてしまっては何の意味もありません。
おまとめ・借り換えを利用するメリット
おまとめ・借り換えで、適用金利を引き下げられる可能性があることをお伝えしました。まずは、現在適用されている金利を確認しましょう。より低い金利のローンへ借り換えられれば、返済効率を上げ、完済までの期間と利息の支払い額を圧縮できます。
また、複数の借入先がある方は、まとめることで何度も訪れていた返済期日が月に一度になり、管理しやすくなる効果もあります。返済の遅延を防ぐことにもつながり、遅延損害金の負担や信用情報に傷が付くことも防げます。また、カードローンによっては借入額が増えると適用金利が下がるものもあり、総額が同じなら一社にまとめる方がお得なケースもあります。
カードローンの返済を延滞してしまった場合
返済期日までに返済ができなかった場合は、遅延損害金が発生します。遅延損害金の1日あたりの金額は、「借入残高(円)×遅延損害金年率(%)÷365(日)」の式で計算されます(※)。このとき遅延損害金の年率は、延滞に対するペナルティ的要素から貸付利率よりも高い利率であることが一般的です。
- 例)残高50万円のとき返済が7日間遅れて年利18.0%の遅延損害金が発生
50万円×18.0%÷365日×7日≒1,726円
通常の利息分に1,726円を加算して返済することが必要
- ※借入残高ではなく、返済が遅延している元金に対して遅延損害金を課す金融機関もあります。
当然ですが遅延損害金は、返済が1日でも遅れると加算されます。2日遅れたら2日分、3日遅れたら3日分と、長くなるほど確実に増えていくため、遅延に気付いたらすぐに対処してください。また、滞納が発生しそうなことが事前にわかっている場合は、借入先に早めに相談されることをお勧めします。
利息負担額にしっかりと向き合い、節度をもって慎重に
カードローンと付き合う際に重要なのは、「いくらの借入残高があるかを常に把握しておくこと」「できるだけ速やかに元金の返済を行い、着実に残高を減らすよう努めること」です。そのためにも、月々返済額のうち利息の負担がいくらになっているのかを把握し、しっかりと向き合ってください。また、完済できるまでに総額いくらの利息を払うことになるかも必ず把握しましょう。
不測の事態に救世主となってくれるカードローン。ずっと味方でいてもらうためにも、節度をもって慎重に付き合うことが大切です。